昨今の認知症専門ケアの中に、歯のメンテナンスが含まれている事をご存知ですか?「歯」と「認知症」の結び付きに、多少の違和感を覚えるような人々はいるかもしれませんが、「歯」の健康は、私達人間の健康の基本とも言えるほど重要な役割を果たしている事が分かり始めたようです。お口の中は、トイレを同じくらい菌に犯されているというほど、口内には様々な細菌が存在しています。「善玉菌」と呼ばれる、お口の健康を保つ菌と、「悪玉菌」と呼ばれる、虫歯や歯周病の原因となるような菌です。この2つのバランスによって、口内の健康バランスは傾いたり、健康を維持できたりしているそうなのです。歯科クリニックなどで、定期的にクリーニングを行っている人たちの口内と、そうでない人たちの口内には、大きな隔たりがあるほど、定期的に専門的なデンタルケアを行う事は重要であると考えられているようです。また、口内の健康状態によって、認知症の症状が軽減したり、改善に導かれることも昨今の研究データによって判明してきているようであります。多くの場合、認知症を患う人たちの口内はケアが生き届いておらず、家族の口腔ケアの介助も困難な為、長い期間、虫歯や歯周病が放置されてしまう事が多いようです。結果、口内の悪環境がひどい口臭としてあらわれたり、虫歯や歯周病によって炎症や痛みが発症したり、入れ歯や義歯の噛み合せが悪くなり使用不可な状態にまでに至ってしまうような事もあるようです。口内環境が傾きはじめると、多くの人は食欲が低下し、活発な行動力が減少してしまうと考えられています。さらに、食事の際の嚥下が弱くなり、誤嚥などの問題が発生する事により、全身の疾患リスクへの結びつきが懸念されています。